2023/12/26(火)
Apple Professional Learningの事例
全体研修に加え、それぞれの希望に合わせた各学校ごとの出前研修を
行うことで利活用を促進させる下妻市さまの取り組みを紹介します。
取材日:2023年10月27日
※動画と記事内の学年表記などは取材当時のものです。
取り組みの概要
下妻市さまでは2023年度にiPadの利活用に関する全体研修に加え、各学校ごとに研修内容の希望を
募り、それぞれの学校で異なる内容の研修を行う出前研修を実施されました。
GIGAスクール構想の実現に向け2019年度から先生向けの研修を実施されていますが、画一的な
発信だけではなく、各学校ごとの自発的な利活用の発展をよりサポートするために2022年度から各学校
ごとの出前研修を企画されたとのことです。
今回の出前研修を企画された教育委員会の担当者と実際に受講された先生にお話を伺いましたので
紹介します。
教育委員会の担当者に伺いました
下妻市では先生向けにiPadの利活用に関する研修として「全体研修」と「出前研修」を実施しています。
全体研修はさらに「基礎研修」と「応用研修」に分かれ、基礎研修は他市から異動されてきてiPadに慣れていない先生向けの研修となっていて、応用研修はより利活用を発展させたい先生向けの研修となっています。
出前研修は各学校ごとに希望する内容の研修を行うものとなっています。
全体研修はiPadの操作の基礎から始まり、下妻市全体のICT活用能力の底上げを図ることを目的としています。先生がiPadで出来ることを広く知ることで、子どもたちに活用のアイデアを提案しやすくなったり、子どもたちが自由にiPadを活用することの許容度が高くなると考えています。
出前研修は各学校が今知りたいアプリの使い方や、授業のどの場面で使うなどのアイデアを学ぶ場となっており、受講することでiPadを活用したいという先生のそれぞれの次の一歩をサポートすることを目的としています。各学校にはそれぞれの特色に合わせて上手く使ってもらえればと考えています。
23年度になり研修内容の希望が以前より具体的になったと感じました。22年度は研修に対して「これがやりたい」という具体的な希望が少なく、基本的なiPadの操作方法やアプリのみを指して使い方を学びたいという希望が多くありましたが、23年度になり「次の国語の授業ではPagesを使って新聞を作りたいからやり方を教えてほしい」という本当に具体的な希望になってきました。
このような変化は先生や子どもたちがiPadを積極的に使い、慣れてきたことと、周りから入る活用事例なども増え先生の活用のアイデアも豊富になってきたからだと考えています。
芦ケ谷が、学校が希望を出す際の姿勢の変化についてお話しましたが、私は学校訪問をした際の掲示物の変化でも学校の変化を感じました。
今まで手書きで作っていた提示物がPagesでまとめた提示物に変わっていました。もちろん手書きの提示物でもよいのですが、社会見学の内容をまとめる際にiPadを使うと写真を入れて分かりやすくできます。また、構成等を試行錯誤する際の煩わしさを軽減し、作成の時間短縮につながるなどの利点があります。
こうした点から出前研修の成果として先生のアイディアが広がっていると感じました。
子どもたちの表現の幅がもっと大きく広がっていくことを期待しています。
子どもたちが何かを表現したいというときに、表現方法が一つに縛られるのではなく、表現したい内容に合った方法を選択できるようになって欲しいと思っています。
出前研修を通じて、iPadを使うことでよりよい授業ができるかもという発想や、具体的な活用のアイデアが生まれると思うので、今後も出前研修を続けることで先生のアイデアの引き出しを増やすことをサポートして、子どもたちのICT活用能力の成長につなげていきたいと考えています。
自分の考えを整理したり、まとめたりする際にノートを用いるのか、ICTを活用するのかを個人が選択できるようになることを期待します。
現在、さまざまな学習上の困難さを抱えている子どもたちが増えてきています。書字や意思表示が苦手な場合には、iPadを使うことで学習を進めやすくなります。
このように特別な教育的支援が必要な子どもたちへの対応がより充実していくことを願います。
受講した先生に伺いました
2023年度の出前研修は「次の国語の授業ではPagesを使い新聞を作りたいからやり方を教えて
ほしい」というような具体的な希望を学校からいただき、各学校で実施されました。
この研修に向けて希望を出され、受講した先生は研修をどのように受け取ったのでしょうか。
受講した先生にお話を伺いました。
教育委員会の担当者に伺いました
まず、依頼するそれぞれの研修ごとにしっかりと目的を示していただき、またその内容がとても共感できるものであることです。なぜiPadの純正アプリを使うのか、研修を受けることで何ができるようになるのか、などが最初から具体的に提示されていて、かつ先生のモチベーションが上がる内容になっているため、楽しみながら研修を受けられたと思います。
次に、授業のどの場面で使えるかなどの具体例を多く示していただけるということです。アプリの操作方法に加え、授業での活用事例があることで研修の内容をすぐに授業に活かすことができると思います。
最後に、複数の研修講師(※1)の方に研修を行っていただいていますが、どの研修講師の方に行っていただいても先生の満足度が高いということです。研修を受けた先生のアンケートでいずれの学校もほぼ100%満足しているという結果が得られています。
※1 研修講師=Apple Professional Learningスペシャリスト
「iPadを何のために使うのか?」という点を非常に意識をして研修を行っていただいているということです。
「この機能はこんな使い方ができますよ」や「こんな場面で使えますよ」ということのみ先生に伝えても「何のために」という部分がないといけないと思います。「ICTを活用すると、こういった活動がより充実した内容になりますよ、その結果、このような力を育成することにつなげられますよ」という具体的な提案をしてくださるのがありがたく、また学校にも伝わっているから学校からの評価も高いのかなと思います。